葬儀を執り行う時は心情的に余裕がない状況ではありますが、遺産相続が発生する場合、そのことも視野に入れておくのがベターです。相続人全員が近くに住んでおり、いつでも簡単に集まれる場合は良いのですが、それぞれが遠方で暮しているなど、滅多に会えない場合は特に重要です。
家具や家電類はともかく、不動産などを相続する時は遺産分割協議書が必須になりますので、お葬式で相続人が集まる時に作成しておけば、後で楽になります。この遺産分割協議書には一律の書式といったものはなく、どの財産を誰がどれだけ相続するかを明記するのが目的です。
土地や家屋の場合は登記申請で使いますので、地番や地積など、当該不動産の登記事項証明書に書かれている文字を、一文字たりとも間違えずに作成するのが大前提です。そして、その相続配分を承認した証しとして、相続人全員の住所と氏名、ならびに実印を捺印して仕上げます。実印を使用しますので、葬儀で集まる時は事前にその持参と、できれば印鑑証明書も一緒に携えてもらうのが得策です。ただし、金融機関での相続手続きでは発行から数か月以内の印鑑証明書という具合いに、使用期限が設けられているため、その点には留意が必要です。一方、遺産分割協議書は各人が原本を所持することが望ましいので、最低でも相続人の人数分は用意し、全てに署名捺印をして、それぞれが大切に保管します。ですから、相続不動産の所有権移転申請のために法務局へ提出する分は、余分に用意しておくのも得策です。しかしながら写しを添付して原本還付請求を行えば、後日原本を返却してもらえます。